原題:The Naked Gun: From the Files of Police Squad!
監督:David Zucker
主演:Leslie Nielsen
公開:(米国)1988年
(日本)?年
(著:hanea)
本Blog「キネマ週報」は、自分とdziが交代で毎週のお題作品を決める当番制。
実はお題作品の選定作業が意外と楽しい。お題の決め方はdziと二人で色々と模索途中ではだけれども、今回は「前回と同系列の作品を見てみよう」という方向性を試すべく本作をピックアップ。
今までは、とにかく色んなのを見ようという意識。今回は短期間で同じ系統の映画を見て見ようという意識。
本題。
本作は敏腕のようなそうでないような2.879枚目ぐらいのナイスミドル刑事が活躍するお馬鹿系コメディ。
ナイスミドル刑事が麻薬取引捜査で大怪我を追った仲間の仇を打つべく黒幕を追う中で、黒幕が女王暗殺まで目論んでいる事を嗅ぎつけ、女王暗殺阻止のため奮闘するというストーリー。とはいうものの、前回お題「トップガン」よろしく物語の進行は笑いを誘う舞台設定以上の意味を持たず、とにかく眼前に広がるズッコケ展開に素直に笑っていればよろしいステキ作品。
下ネタ汚下劣を極力控えて纏めた「トップガン」と比較して、本作はより笑いの本能に忠実に下ネタ汚下劣を全面に押し出す低俗な開き直りぶりが印象的。”nice beaver!”を「良い毛並み!」と訳す訳者の特段の配慮が実に趣深い(注:飽く迄ビーバーの剥製の話題です)。他にも彫像とはいえ男性器をモロに出してみたり、痰をビービー吐きまくる大リーガーの揶揄描写があったりするので、例え笑えるからといって家族で一緒にとか皆で何かものを食べながら団欒とか、そういう用途には残念ながら不向きな感じ。そういう笑いを好まない人には決定的に不向き。自分は時には一人こんなくっだらねえ事で馬鹿笑いして過ごすのもアリだと思う。
前回お題「トップガン」と本作を並べると、主要人物から背景人物に至るまでが一斉同時にボケ倒す「トップガン」とレスリー・ニールセンががっつり笑わせにくる本作は、同じようで居て、似て非なる事に気づく。どちらがより面白いかという話ではなくて、どちらもドカドカ笑わせてくれるけれど雰囲気は結構違うもんだなあと。個人的な感想だけれども、「トップガン」は初めから終わりまで同じ笑いの雰囲気を貫き通しつた印象で、本作は序盤でガッツリ万人が許容する笑いで心を引っ掴んでから中盤の中だるみを下ネタと汚下劣で訴える方向にした印象。自分は本作の序盤で良く笑ってしまったために中盤以降、笑いどころの方向性が微妙に変わってしまったのが若干悔しく思った。序盤の感じで突っ走ってくれたらなあ。とはいえ、中盤以降は女王やら大リーグやらオペラ歌手やら「偉いヒト・モノ」をブラックに切り倒していく笑いも増えて、不謹慎ながら爆笑してしまった。
自分は特に序盤が好きかな。もうなんか笑いの王道って感じがして、わかってるのに笑っちゃう的なものがある。1度見てあるからこのシーンのオチ知ってるとか思っていても結局笑う。どうやら字幕版ではなく、吹き替え版は吹き替え版で吹替演者がアドリブ満載で楽しいらしいので今回は吹替え版で見たら良かったとちょっと後悔。
野暮ったい上にネタバレになってしまうけれども物語の展開についても触れておくと、最後は女王暗殺に失敗し追い詰められた黒幕がヒロインを人質にとって最後のあがきをするも主人公の活躍で悪は滅びた…というお約束展開。まあ冒頭で触れたとおり、笑えれば展開なんでどうでもいいのだけれど、でもあえて触れさせてもらうならば、実は女王暗殺失敗の時点では暗殺未遂事件という「点」と黒幕という「点」が線で繋がっていないと思う。主人公視点からは確かに繋がっているように見えるけれども、決定的物的証拠は何も押さえておらず、正直黒幕しらばっくれまくれば逃げきれるんじゃない?的な疑問が最後まで残ってしまう(自分が証拠を押さえる場面を笑いすぎて見逃してるだけかもしれないけど)。
事件を自分と線で結ばせないために「催眠兵器」で赤の他人を使って足跡を残さないスマートな暗殺をやってるのを初めから意識してる黒幕なのに、暗殺失敗した瞬間、突然意味不明にいきなり人質なんか取って公衆の面前で目立つ自爆をする。なんかこのあたり話が致命的に破綻してないかなあ…なんてね。
しかも暗殺を阻止した決定打は警察が極秘開発したカフスの形した極小秘密兵器なので、使用しても一般人には何やってるかよくわからないはずなのに、使った瞬間野球場全体が事態を把握するのもなんか不自然。
本当に、目の前で繰り広げられる笑いの前にそんな小事は心の底からどうでもいいのだけれど、ほんのすこし気になってしまうま。すごい美味しい焼き魚食ったんだけど、最後の方で喉に小骨ささっちゃったような、そんな感じ。
終わり。
(著:Dzi)
のっけの数分から既に先週感じたあの「バカ」を感じ、同一ジャンルを持ってくるぞと宣言していたhaneaにしてやられた感。否が応でも、笑いを期待してしまうこの雰囲気。
同じ「バカ」映画なんだけど、前回の「"トップガン"」とはちょっとテイストが違うんだね。でも、アメリカン「バカ」という括りではどちらも一緒(笑
笑わせ方自体がやはりアメリカンというか、かなり近いものがあるんだよね。
本作では笑わせる主体が主人公が担っているという点や、下ネタの多少に違いがあり、そこは「"トップガン"」と「似て非なるもの」なのかな。なにせ、本作は結構かなり下衆である。だが、33歳の私には心地よい下衆さかな。
haneaも述べているが確かに、ファミリーで見ると戦慄する場面はあるので、自分の子供には「Hot shots!」は見せても本作はある程度の歳までは見せたくないなという印象。
まぁ、こういう毒を幼少期に植えつけておくことも一つの教育なのかもしれないけど。
しかし、先週に続いてずっと突っ込み続けなければいけないのかと思うと、ぞくぞくするね!
----
最初のコカイン取引のシーン。銃で死んだと思うじゃん普通。そのあとのピタゴラスイッチ的死にっぷりがベタベタすぎて、お決まりすぎて最高だ。
その撃たれたノードバーグは、ピタゴラ死したと思われたが、幸いにも助かっt…。
ドレビンが余計なことをしなければもっと早くな!
やっちゃいけないことを全てやる。言っちゃいけないことを全ていう。
してはいけない勘違いも全てする。しかし、立ち振る舞いは紳士的だ。
このギャップがたまらなく我々の心を鷲づかむ。
何だろう、ナイスミドルが、考えうる全ての「バカ」をするだけの映画なのだが、
愛せてしまうんだよね、この作品。
そして、所々に散りばめられる社会風刺的な描写が、わずかながら知性を醸しているのが、単なるバカ映画でないということで好感が持てる部分なのかもしれない。
アメリカ映画特有の、スタンダードな悪人像というものがある。目的を果たすためには、手段を選ばない。そして資産家であり、ひけらかす。また、必ず美女を狙っていたり囲っていたりする。この映画もご多分に漏れずである。これも社会風刺の一つなのかね。
社会風刺といえば、警察の武器研究所みたいなところの壁に、放射能マークが貼ってあるのもひとつのそれなのかな。
下ネタ的なところで好きなシーンは、「安全性交」のシーン。
コンドームで全身を覆うという発想はなかったわ。やられた。
ストーリーはいろいろ突っ込みどころがあるが、この映画にストーリーの整合性や完成度を求めることはきっと野暮何だろう。
サスペンスあり、アクションあり、ラブロマンスあり、そしてコメディーありの最高のエンターテインメント作品のひとつであることは間違いない(?
いずれにせよ、休日の夜に頭を空っぽにして見るには最高すぎる映画である。
以上。
のっけの数分から既に先週感じたあの「バカ」を感じ、同一ジャンルを持ってくるぞと宣言していたhaneaにしてやられた感。否が応でも、笑いを期待してしまうこの雰囲気。
同じ「バカ」映画なんだけど、前回の「"トップガン"」とはちょっとテイストが違うんだね。でも、アメリカン「バカ」という括りではどちらも一緒(笑
笑わせ方自体がやはりアメリカンというか、かなり近いものがあるんだよね。
本作では笑わせる主体が主人公が担っているという点や、下ネタの多少に違いがあり、そこは「"トップガン"」と「似て非なるもの」なのかな。なにせ、本作は結構かなり下衆である。だが、33歳の私には心地よい下衆さかな。
haneaも述べているが確かに、ファミリーで見ると戦慄する場面はあるので、自分の子供には「Hot shots!」は見せても本作はある程度の歳までは見せたくないなという印象。
まぁ、こういう毒を幼少期に植えつけておくことも一つの教育なのかもしれないけど。
しかし、先週に続いてずっと突っ込み続けなければいけないのかと思うと、ぞくぞくするね!
----
最初のコカイン取引のシーン。銃で死んだと思うじゃん普通。そのあとのピタゴラスイッチ的死にっぷりがベタベタすぎて、お決まりすぎて最高だ。
その撃たれたノードバーグは、ピタゴラ死したと思われたが、幸いにも助かっt…。
ドレビンが余計なことをしなければもっと早くな!
やっちゃいけないことを全てやる。言っちゃいけないことを全ていう。
してはいけない勘違いも全てする。しかし、立ち振る舞いは紳士的だ。
このギャップがたまらなく我々の心を鷲づかむ。
何だろう、ナイスミドルが、考えうる全ての「バカ」をするだけの映画なのだが、
愛せてしまうんだよね、この作品。
そして、所々に散りばめられる社会風刺的な描写が、わずかながら知性を醸しているのが、単なるバカ映画でないということで好感が持てる部分なのかもしれない。
アメリカ映画特有の、スタンダードな悪人像というものがある。目的を果たすためには、手段を選ばない。そして資産家であり、ひけらかす。また、必ず美女を狙っていたり囲っていたりする。この映画もご多分に漏れずである。これも社会風刺の一つなのかね。
社会風刺といえば、警察の武器研究所みたいなところの壁に、放射能マークが貼ってあるのもひとつのそれなのかな。
下ネタ的なところで好きなシーンは、「安全性交」のシーン。
コンドームで全身を覆うという発想はなかったわ。やられた。
ストーリーはいろいろ突っ込みどころがあるが、この映画にストーリーの整合性や完成度を求めることはきっと野暮何だろう。
サスペンスあり、アクションあり、ラブロマンスあり、そしてコメディーありの最高のエンターテインメント作品のひとつであることは間違いない(?
いずれにせよ、休日の夜に頭を空っぽにして見るには最高すぎる映画である。
以上。
************** 次回 2015年11月第1週 お題作品 ***************************
作品タイトル: 「ドラえもん のび太の日本誕生」(1989年)
原作:藤子・F・不二雄
主演(声優):大山のぶ代
10月下旬のアホアホ月間を終え、何を持ってこようかと悩みに悩んだ結果、
私の思い入れの強いアニメ作品を持ってきてみた。
これは、私が幼少期に父に数度、川崎のチネチッタに連れて行ってもらった思い出深き作品なのです。
私情もさることながら、ストーリや音楽の良さが故に、数ある劇場版ドラえもんの中でも、
トップクラスの作品かと思う。




